サッシェの館−バルザックそしてラブレー

アセ・ル・リドーからアンドル川に沿って少し遡ったところに、小さな城館がある。バルザック(1799〜1850)が 『谷間の百合』 『ゴリオ爺さん』 などを執筆した館「サッシェ」である。 現在、バルザック博物館になっている。 三階の天井の低い寝室は彼の生前のままに保存されている。

バルザック

バルザックの母親の親友ド・マルゴンヌ氏の館であったから、彼はしばしばここに滞在した。

バルザックの代表作 『谷間の百合』 には、

「一つの谷底に、サッシェの館の浪漫的な威容がその全貌を現わしましたが、これこそ調和に満ちたものうげな住居であり、軽薄な人々にとってはあまりに重々しく見えようとも、心病める詩人にとって何ものにも代えがたい住居なのです。それゆえ、その後、私もその館の静寂、梢の裸になった大木、そしてそのひそまり返った谷間にただよう何か神秘めかしいものなどが、すっかり好きになってしまったものでした。」と。

この作品が出版された1836年頃は、田舎から多く人々が、パリに集中して来ていた。 都市化が進み、田園が失われていった時期であるが、眠っていた田園の美しさを、バルザックは呼び覚ましたのである。

様々な人間が様々な心理や行動を展開する「人間喜劇」を描いたトゥール生まれの文豪バルザックがフランス文化の一面を示すと言えば、もう一つの文化を示したロワール生まれの作家として、ラブレー(1483〜1553)を忘れるわけにはいかない。

サッシェの館

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