
ボルドーではシャトー、ブルゴーニュではクリマ(畑名)、アルザスでは品種を抜きには語れない。シャンパーニュでは、それは、ブランド、つまりメーカーである。普通、ハウスないしメゾンと言う言い方をする。このメーカーはかなりの数にのぼるが、生産規模と質の面で名門と目されるメーカーを指して「グランド・マルク」ないし「グランド・メゾン」」と言う。以下、日本に輸入されているこの「グランド・マルク」を中心にピックアップした。
なお、★印は、ワインの評価本として定評のあるフランスの「CLASSEMENT-クラスメント」のものを引用した。
*シャンパンの生産者はその業態に従って、公的に分類されている。
Billecart-Salmon (ビカール・サルモン)
★★
しっとりとしていながら生き生きとした泡立ち、フルボディだが重たくなく、力強いのに荒削りのところがない。それに優雅さが加わる。 辛口の品質はトップ級の極上品。同社のブラン・ド・ブランは特に評価高い。
栽培地:(赤)6.3haの所有畑+葡萄購入(白)4.25haの所有畑+葡萄購入
生産量: 120万本
Bollinger (ボランジェ)
★★★
個性豊かで、力強く、精妙。収穫年に左右されない品格をもつ。
ノン・ヴィンテージのブリュットである「スペシャル・キューブ」は同種のシャンパンの中では郡を抜くと評されている。
<Vieilles Vignes>は、フィロキセラ以前の古木(樹齢70~80年のピノ・ロワール)から作られる稀少品。
英国のチャールズ皇太子とダイアナ妃との結婚式の祝宴に饗されたのは、このボランジュの「1973年」であったと言うエピソードもあるが、 シャンパンをよく知る人にとっては、シャンパンの横綱を張っているのは、クリュックとこのボランジュであることは否定しないであろう。
栽培地:(赤)110haの所有畑+葡萄購入(白)40haの所有畑+葡萄購入
生産量: 195万本
de Sousa (ド・スーサ)
★★
ヴィンテージものも素晴らしいが、「レゼルブ」の完成度が高い。
ごく普通の銘柄品の価格でありながら傑出した品質を持っている。
生産量が少ないから入手は易しくない。
栽培地:(赤)3.2haの所有畑、(白)3.2haの所有畑
生産量: 6万本
Deutz (ドゥーツ)
★★
熟成の妙のよく出たソフトなシャンパンの代表格。
「ブリュット・クラッシック」から格上の「ウイリアム・ドゥーツ」まで、申し分の無い優雅な品格を持っている。
香りも口当たりも穏やか、新鮮さを残しながら喉ごしソフト。初めてシャンパンを飲む人に絶対お勧め。小柄でシックなレディーのような魅力を持っている。
栽培地:(赤)29.4haの所有畑+葡萄購入、
(白)12.6haの所有畑+葡萄購入
生産量: 120万本
Egly Ouriet (エグリ・ウーリエ)
★★
骨格のしっかりしたそのシャンパンは、長寿。余韻も長く、力強い。ヴィンテージものは、名だたるグランド・メゾンの特級品と比べ、優るとも劣らない。
非発泡赤ワインの<コート・シャンプノワ>も造っていて、その品質の高さはシャンパーニュでも抜きん出ていて、この地随一の優雅な赤ワインと評価されている。
栽培地:(赤)7ha ピノ・ノワール、(白)2ha シャルドネ
生産量: 68,000本
Jacques Selosse (ジャックス・セロス)
★★
畑はコート・ド・ブラン地区のアウィーズ、クラマン、オジェの3つの村にある。ビオディナミ農法、畑の手入れ、完熟収穫、樽発酵等々精緻な工夫がなされていて、個性豊かなシャンパンを送り出している。
「ブリュット」は素直で深い味わいが楽しめる。
「シュプスタンス」はアヴィーズ村のブドウのみを用い、毎年古いワインに新しいワインを加えた特別なリザーブワイン。
また、3つの村のブドウを樽発酵させた「エクストラ・ブリュット」は、例がないほどアルコールの強いアペリティフ用シャンパン。
栽培地:(赤)0,17haの所有畑、(白)6.1haの所有畑
生産量: 4.7万本
Joseph Perrier (ジョセフ・ペリエ)
★★
キュミエール村、オーヴィレール村、ダムリィ村の優れた畑のピノ・ノワールとピノ・ムニエを使い、実にまろやかなシャンパンを造っている。どのシャンペンも出荷前に酒蔵でじっくり寝かせられ、それが味に効果をもたらしていると言われている。
ノン・ヴィンテージものは、堅実なタイプで、色は淡黄色、新鮮で果実香に富み、喉ごし爽やかな飽きのこないシャンパン。ヴィンテージものは、優雅で洗練されたスタイルに揺るぎはなく、その微妙な味わいと絹のようになめらかな口当たりは他に例がない。
栽培地:(赤)16haの所有畑、(白)2haの所有畑
生産量: 75万本
Krug (クリュッグ)
★★★
その品質に掛ける徹底さは枚挙にいとまはないが、毎年売り出すワインの6年分以上(350万本)を常時ストックしていることでも破格で、入念さを明らかに示す数字である。
長期熟成。優雅、洗練、精妙そのもの。シャンパン愛好家にとっては、贅の極み、宝物。特に「Clos du Mesnil」は、稀少品で、ル・メニル・シュール・オバーニュのベネディクト修道会の古い葡萄園(1698年まで歴史を遡れる由緒ある畑)のブドウだけで造ったもの。シャルドネだけを小さな古樽で発酵させたブランド・ブランの白眉、幻のシャンパンである。
1999年レミーマルタン・グループからモエ・ヘネシー・ルイヴィトン・クループの傘下には入ったが、運営はクリュック一族が取り仕切っていて、その運営に変わるものはない。
栽培地:(赤)10haの所有畑+葡萄購入(白)10haの所有畑+葡萄購入
生産量: 50万本
Pol Roge (ポール・ロジェ)
★★
英国首相チャーチルが愛飲した。それに敬意を表し発売した<サー・ウインストン・チャーチル>は特醸品。地下のカーヴは2層で深く、エペルネ屈指のもの。
栽培地:(赤)100haの所有畑+葡萄購入 (白)56haの所有畑+葡萄購入
生産量: 150万本
Salon (サロン)
★★
現在はローラン・ペリエ・グループの傘下にあるが、この創業のポリシーを頑なに守り続けているユニークな醸造元。
従って、ここ10年のうち3年程度しかワインをリリースしていない。
サロンのシャンパンはシャルドネだけを使ったブラン・ド・ブランの極めつきで、ヴィンテージものしかない。 色は薄く、非常にフレッシュ、気品のある芳香、味わいはまさに端麗。
栽培地:(白)1.5haの所有畑
+ブドウ購入(同一村の丘の頂上近くの最高の畑の栽培者から)
生産量: 8万本
Veuve Cliquot Ponsard (ヴーヴ・クリコ・ポンサルダン)
★★
「いかにして品質を落とさず、生産量を増やすか」と言うグラン・メゾンなら避けて通れない問題を見事に解決しているのがクリコである。
毎年、大量(年間800万本以上)に送りだされるノン・ヴィンテージ・ブリュットがシャンパーニュの中でも間違いなく最も品質が高く、安定している。 黒葡萄主体で、果実香あふれ、優美。
栽培地: (赤)187haの所有畑+葡萄購入、(白)176haの所有畑+葡萄購入
生産量: 900万本
